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 平井千絵のブログ 「オランダ フォルテピアノ だより」 はこちら!

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2003年8月13日

22nd Holland Festival Early Music Utrecht 2003

from Friday 29 August to Sunday 7 September, 2003

Halcyon Ensemble
Saturday 6 September 2003 12:45 at Vredenburg, grote zaal

Founded in 2001 at the Royal Conservatory of The Hague,the Halcyon Ensemble is thoroughly international,with members from Australia,Japan,Finland and Germany.
Although this quintet for fortepiano and winds revels in playing unknown repertoire,they perform here quintets of Mozart and Beethoven.
Halcyon Ensemble's photo

 今年で22回目を迎えるユトレヒト古楽祭は8月29日から9月7日までの期間様々な催し物が繰り広げられます。古楽ファンにはとても楽しみなお祭りです。

ハーグとアムステルダムの音楽院で出会った仲間たちと2001年に結成したHalcyon Ensembleは、モーツァルトとベートーヴェンの管楽器とピアノのための有名な5重奏曲を中心に、あまり知られていない作曲家の作品をレパートリーとする若いアンサンブルです。
昨年はサント音楽祭(フランス)で演奏してきました。夏になるとなぜか活発化するグループ(?!)です。
後列左から、
Karen Libischewski --- natural horn
Chie Hirai ----------- fortepiano
Anna Starr ---------- oboe
前列左から、
Nicola Boud --------- clarinet
Jani Sunnarborg ------ bassoon


 9月6日(土) 開演:12時45分 
会場:Vredenburg Utrecht 大ホール 
で私たちハルシオン・アンサンブルのコンサートが開かれます。さわやかなこの季節、ヨーロッパ旅行をご計画の方にはお聴きいただきたいコンサートです。

Programme
プログラム
Wolfgang Amadeus Mozart (1756-1791) : Quintet KV452 Es-dur (1784) fuer Klavier, Oboe, Klarinette, Horn und Fagott
 
ヴォルフガンク・アマデウス・モーツァルト(1756-1791)作曲 :
   ピアノ、オーボエ、クラリネット、ホルン、ファゴット、のための5重奏曲 kv452 変ホ長調(1784)

Ludwig van Beethoven (1770-1827) : Quintet Op.16 Es-dur(1797-8) fuer Klavier, Oboe, Klarinette, Horn und Fagott
 
ルートヴィッヒ・ファン・ベートーヴェン(1770-1827)作曲 :
   ピアノ、オーボエ、クラリネット、ホルン、ファゴット、のための5重奏曲 Op.16 変ホ長調(1797-8)


2003年9月3日

平井千絵の五重奏グループ、Halcyon Ensemble がアントワープで開かれた
古楽器コンクールで優勝しました!


8月26日からベルギーのアントワープで開かれた、IYAP国際コンクール (International Young Artist's Presentation) Historical Wind Instruments で Halcyon Ensemble が優勝し、ヨーロッパ内でのツアーをはじめ、CDデビューが決まりました。

Halcyon Ensemble's photo


 コンクール、という名前のついていないこのユニークなコンクールは、テープ審査で選ばれた8組がまず、フラウト トラヴェルソ奏者のバルトルド・クイケン氏のコーチング(公開のレッスンのようなものです)を受けたあと、翌日にプレゼンテーションとしてコンサート形式で演奏し、5人の審査員によって審査されるというものでした。

 審査員は、オーボエ奏者のマルセル・ポンセール氏、ベルギーのラジオ局Klaraのユーヴィン氏、主催のMusicaのべテン氏、CDレーベル”アクセント”のグラット氏、バルセロナ古楽祭主催者のパルマ氏でした。

 クイケン氏の強調した、「どうか、コンクール用の演奏をしないで、音楽を楽しんで、ステキなコンサートを聞かせてほしい」というメッセージの通り、全くコンクールの雰囲気を感じさせないコンクールで、私たちハルシオン・アンサンブルも思いっきり音楽を楽しんできました。

 会場となったチャペルは、少し響きすぎる感があるものの、素晴らしい音響でした。(発表後、Accentのグラット氏から、同会場でモーツァルトとベートーヴェンの管楽五重奏曲のレコーディングを、Jos van Immerseel氏と10何年も前にしたという事を聞き、「えっ、じゃああなたはアクセントで働いていたんですか?」とまぬけ&失礼な質問をしてしまい、でも、幸いなことに大笑いされるだけで済んだばかりか、他にも面白いエピソードをたくさん聞かせていただきました。ほっ・・・)

 フォルテピアノのふたを完全にはずし、鍵盤奏者が観客と向かいあうように楽器を配置する(鍵盤楽器のしっぽを客席に向ける)、18世紀には一般的だったセッティングで演奏しました。私からは、ドーム型の天井の素晴らしい装飾や、お客さんの反応がよく見えて、楽しかったです。
 演奏したのは、それぞれモーツァルト、ベートーヴェン、ダンツィのクインテットから一楽章づつ、当時としてはスキャンダラスなほど斬新なオープニングで始まるモーツァルトの1楽章、ベートーヴェンのロマンがあふれる2楽章、彼らと同世代でマンハイムで活躍したオペラ作曲家ダンツィのチャーミングな3楽章でプログラムを組みました。ダンツィでは笑いを取れたのが嬉しかったです!

 上の写真はコンクールが終わって優勝が決まった直後、ロビーに私たちが出てきたところを、プレス用の写真を撮りに来たカメラマンに私のデジカメを渡して、とってもらったものです。
 下は演奏会場となったチャペル内の写真です。暗いのでカラーが出ませんでしたので、モノクロで・・・。


2003年9月27日

古楽情報誌 アントレ(Entree) 9月号に平井千絵の投稿記事が掲載されました。
THE EARLY MUSIC SEMINARS AND COURSES "EGIDA SARTORI" に参加して
『ヴェネツィアでのシュタイアー氏のマスタークラスに参加して』


掲載された記事の中からその一部をご紹介します。
詳細は、古楽情報誌 アントレ(Entree) 2003年9月号(No.151) 定価700円 をご覧下さい。
雑誌の購入問い合わせ先は、〒206-0803 東京都稲城市向陽台5-10-6-308 tel/fax:042-378-7603 です。

 アンドレアス・シュタイアー氏から、7月と12月の2回に分けて行われるヴェネチアでの彼のマスタークラスに奨学生として参加しないか、とのメールがあったのは2003年に入ってすぐのことでした。お題は、ベートーヴェンとその他の作曲家による「ディアベッリ・ヴァリエーション」。ベートーヴェン最後の本格的鍵盤作品である 《ディアベッリの主題による33の変奏曲Op.120》 は、いつかマスターしたい曲のひとつでしたし、なによりそれを憧れのアンドレアスと勉強できるなんて幸運中の幸運!とすぐ参加を決めましたAndreas Staier and Chie's photo

 さて、水の都ヴェネチアで7月14日から一週間にわたって行われたthe Early Music Seminars and Courses "Egida Sartori" (ダイレクター/ラウラ アルビーニ氏、the Giorgio Cini財団主催) の会場となったのは、本島サンマルコ広場前からヴァポレット(水上バス)に揺られること一停留所、小さなサン・ジョルジョ・マッジョーレ島に建つ、島と同名の真っ白い教会に隣接する修道院内の一室でした。修道院の建物全体は16世紀始めに地元出身の有名な建築家Palladioによって今のかたちにされたのだそうです。16世紀に作られた回廊を通り過ぎて、17世紀バロック様式の圧倒的な大理石の階段を上がって、美術館の一室のような会場に入ると、美しいフォルテピアノ(Mathias Jakesch、1820-25、ウィーン)が置いてありました。
(練習用ピアノは、上階のなんとレスピーギが住居にしていた部屋にある、彼の使ったブリュートナーの交差弦のピアノでした。)Jakeschは、反応の素早い、細いけれどパワフルな音を持った、魅力ある楽器でした。なるべくオリジナルの部分を残す、という修復の傾向で、ハンマーも古いのと新しいのがばらばらに混じっていて、コントロールが難しいので、よほどタッチにヴァラエティと敏感さが無いと 単調で平べったい音になってしまう傾向がありました。初日は、この女王様のような楽器におっかなびっくり近付いていきましたが、“この手のキャピキャピした楽器は押してもだめなら引いてみろ、かなー”で2日目には解決!こちらがデリカシーをもって扱えば扱うほど深く何かを返してくれる、そんな楽器でした。

 二人の音楽学者によるレクチャーに続いて、3人の受講生に対し5日間のマスタークラスという贅沢なスケジュールで進められたレッスンでは、時間を気にする必要のない終始リラックスした雰囲気の中、フォルテピアノでの演奏について、ベートーヴェンについて、これまで自分が考え、学んできたことを違った角度からじっくり見つめ直すことができました。ほとんど全てのヴァリエーションを3人が代わる代わる弾き合って、お互いのテンポ設定やキャラクターなどを、意見を言い合いながら固めていくセッションは、非常にエキサイティングなものでした。アンドレアスの、一瞬もとぎれない集中力と忍耐強く思考し模索するその姿勢に、音楽家として、指導者として、人間として、尊敬の気持ちをますます強くしました。また、驚いたのは聴講生たち(ほとんどがイタリアの音楽学専攻生)の態度で、演奏中・ディスカッション中のおしゃべりは当たり前で、好みに合わない演奏だったりすると、躊躇せずに声を上げて態度を示し、逆に感動するとしんと静まり返ってしばらくして“ブラボー!”となり・・・。

 細い路地裏のレストランに、アンドレアスとラウラ、受講生三人で晩ご飯を食べに行きました。おいしい魚介類とワインを楽しみながら、お料理の話や各国交通事情、オランダとドイツの悪いところ探し(?!)、アンドレアスの日本ツアーの話など、大いに盛り上がりました。あっという間に最終日になり、アンドレアスから12月のコンサートのプログラムについて提案がありました。1夜目は、マシャがベートーヴェン以外の作曲家によるディアベッリ変奏曲から数曲、私がシューベルトのアンプロンプチュを数曲、ピーターがベートーヴェンのバガテルを数曲。2夜目は、ベートーヴェン作のディアベッリ変奏曲を、マシャ、ピーター、私の順に三分割して演奏。 やったー!! 感動的な最後の3つの変奏曲―ラルゴ、フーガ、フィナーレは特に大好きだったので、最後のセクションを弾けることになってとても嬉しかったです。しかも、シューベルトも! シューベルト大好き人間だということが自然とばれていたのでしょうか?

 さぁ、一週間が終わって波打際のカフェで最後のおしゃべり。そこで、『日本人の演奏は機械的だとか心が無いとか言われるけど、そんな経験、私は一度もしたこと無いわ』、とラウラが日本人を持ち上げてくれると、アンドレアスも、『僕も一度も無いよ』、と。 ふー、私がその記録を破ることにならなくて良かったーと、ほっとしながら、また12月にアンドレアスとラウラに会える嬉しさとコンサートのことを考えながら、ヴェネチアを後にしました。いつか日本でも 《ディアベッリの主題による33の変奏曲Op.120》 の演奏会が出来たらなあと思います。