「音楽の友」 2012年8月号


      2012年6月14日に 成城ホールで開催された
              《 生まれたときの “音” 》 
          平井千絵 & ジュリアン・ショーヴァン デュオ・コンサート の演奏会評です。
 なお、執筆者の敬称などは省略させていただきます。ご了承下さい。

        【演奏曲目】   
モーツァルト :
ヴァイオリン・ソナタ 第35番 ト長調 K.379(373a)
モーツァルト :
ヴァイオリン・ソナタ 第28番 ホ短調 K.304(300c)
シューベルト :
ヴァイオリン・ソナチネ 第3番 ト短調 Op.137−3 D.408
ベートーヴェン :
   ヴァイオリン・ソナタ 第5番 ヘ長調 「春」 Op.24



  平井千絵 (フォルテピアノ) & ジュリアン・ショーヴァン (バロック・ヴァイオリン)

 ショーヴァンはフランスのヴァイオリニスト。 平井の楽器は初期のヴァルターの複製。 ヴァイオリンはガット弦にクラシカル弓。 
シューベルトの「ソナチネ第3番」のヴァイオリンは自然な強勢を生かし、繊細なデュナーミクや多彩な音色、焦点の絞られた音程や表現等優れて音楽的だ。
「ソナタ」K379の第1楽章のピアノは鋭敏な感性と濃やかなタッチで細部を表現。 アーティキュレーションによる語りも自然で理に適っている。
両者の音量のバランスや響きの同質性は現代楽器では決して得られない理想的なもの。

 ホ短調 K304 の冒頭、鍵盤を撫でるようなピアノのタッチが快い。 その後は緊張と弛緩、エネルギーの方向や和声の変化が鮮やかに捕えられ、第2楽章はモデレーターが効果的に用いられて夢と現実が交差する。
 《春》 は両者ともに緩急自在、振幅の大きなデュナーミクなど音楽的な事象が生き生きと明快に奏でられ、聴衆に爽やかな感銘を与えた。
                            (6月14日・成城ホール)
那須田 務   

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