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「ムジカノーヴァ」 2008年8月号


      2008年5月14日に 横浜みなとみらいホール 小ホールで開催された
             「ウイーンのピアノに魅せられた作曲家達 Vol.2」
                       【変容の愉悦】 

          平井千絵 フォルテピアノ リサイタル Vol.2 の演奏会評です。
 なお、執筆者の敬称などは省略させていただきます。ご了承下さい。

平井千絵
フォルテピアノ・リサイタル
<シリーズ ウィーンのピアノに魅せられた作曲家たちVol.2>

 フォルテピアノ界の新鋭、平井千絵。
最近ではチェロの鈴木秀美とのデュオで注目を集めており、CDも高く評価されている。桐朋学園大学ではピアノを専攻し、優秀なピアニストを
多く輩出した園田高弘賞ピアノコンクールで準園田高弘賞を受賞。
 デン・ハーグ王立音楽院でフォルテピアノを、またアムステルダム音楽院でチェンバロを学び、国際コンクールでも優勝、上位入賞しており、
ヨーロッパでの演奏活動も活発に行っている。

 当夜のリサイタルは 「ウィーンのピアノに魅せられた作曲家たち」 Vol.2 で、[変容の愉悦] というテーマで展開された。プログラム冒頭は、
ベートーヴェン 《創作主題による6つの変奏曲》 作品34。 まずもって感じたのは、どこまでも澄み切った美しい音色の持ち主であることだ。
使用楽器は、1825年にローゼンベルガーによってウィーンで作られたもの。
平井は、当時の楽器の持つ繊細な魅力を引き出すとともに、そこから想像力豊かな世界を披露してくれた。

フィールド 《ロシアのうたによる変奏曲》 では、5本あるペダルを使い分け、ことに音響の混濁を巧みに汲み取り、ファンタスティックな音の世界を創出した。

ショパン 《華麗なる変奏曲》 作品12では、平井らしいピアニスティックな一面も寄与し、流麗さの中に佇む高雅な色香が実に芳しい。

後半はベートーヴェン 《「プロメテウスの創造物」の主題による15の変奏曲とフーガ》 通称 〈エロイカ変奏曲〉 作品35。高音がやや創りにくい
楽器であるが、低音域の深くて丸みを帯びた響きをもとに、平井の細やかな息遣いを通して幾重にも連なる響きの層を創り出した。

                          (5月14日・横浜みなとみらいホール 小ホール)
(道下 京子)