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「音楽の友」 2007年7月号
那須田 務


  2007年4月18日に王子ホールで開催された「鈴木秀美 ガット・サロン Vol.1 平井千絵とともに」の
  デュオコンサートの演奏会評です。
 なお、執筆者の敬称などは省略させていただきます。ご了承下さい。

   鈴木秀美(チェロ) 平井千絵(フォルテピアノ)

    【演奏曲目】
   
メンデルスゾーン :
チェロ・ソナタ 第1番 変ロ長調 Op.45
シューベルト :
アルペジォーネ・ソナタ イ短調 D.821
ベートーヴェン :
チェロ・ソナタ 第3番 イ長調 Op.69



 鈴木秀美のライフワークともいえるガット・サロンの新シリーズが王子ホールでスタートした。 第1回はフォルテピアノの平井千絵とのデュオ。 1825年のローゼンベルガーで初期ロマン派のソナタを聴く。
 メンデルスゾーン「第1番」、ガット弦を張ったチェロとフォルテピアノの音色の同質性はモダンでは味わえない。 フォルテピアノの専門家に「モダン寄り」の奏者が増えている昨今、平井は楽器を本当に繊細に語らせることのできる人。 その上、ブラヴールな魅力と鋭敏な感受性を併せ持ち、鈴木のチェロにぴたりと対応。
 《アルペッジョーネ・ソナタ》 はピッコロ・チェロによる演奏。 吟味された音色、程よい抑制の効いた無駄のない表現と安定感のある構成に、鈴木のチェロが円熟の極みにあることを印象づける一方、平井は緩徐楽章でペダルを巧に使って色彩と情念の変化を楽しみ、不協和音を鮮やかに際立たせる。
 ベートーヴェンの「3番」での両者の表現は精妙精緻にして明快、力に満ち、あらゆる点で完成度が高い。 平井が本来的に持っていると思われる野性味も感じられて、鈴木秀美と平井の相性の良さ、面白さを改めて確認した。
(那須田 務)